債権回収における裁判とは?具体的な種類と手続の流れについてポイント解説

取引先の支払が滞っている、融資が返済されない等、債権回収に関してお困りのことはないでしょうか。当事者間の協議で回収が可能であれば問題はありませんが、相手方が話し合いに応じない場合には裁判・訴訟手続を利用せざるをえないこととなります。

本記事では、債権回収のために裁判・訴訟を行う場合の手続の流れや注意点を解説していきます。

債権回収を行う方法

債権の回収のために、どんな手段を取ることができるかを説明します。

債権回収を実施する際の方法

まず、相手方の任意の支払いを求める方法として、相手方に内容証明を送る、取立てに行く、という手段があります。このとき、相手方の住所地がわからないと送る方法がありません。

次に、相手方の意思にかかわらず支払いを求める方法として、通常訴訟や支払督促によって得た債務名義に基づいて強制執行を行う、という手段があります。

裁判・訴訟を行うべき債権回収

何度交渉をしても応じてもらえない、そもそも話し合い自体ができないという場合には、裁判・訴訟を行うべきケースでしょう。

また、話し合いができたとしても、相手方が債権の存在を認めない場合、既に支払ったと主張している場合、売買や請負の目的物に契約不適合があり代金減額を主張している場合には、当事者同士の話し合いがまとまる見込みは薄く、いつまでも問題が解決しないでしょう。このような場合には第三者が判断権者となり、それぞれの主張の正当性を判断するべきといえますので、相手方が上記のような反論をしてくる場合には裁判・訴訟を行うべきでしょう。

なお、日本の民法では、自力救済が禁止されています。自力救済とは、簡単に言うと、実力を行使して自己の権利を実現することです。例えば、弁済に応じない債務者の所有物等を金銭の代わりに無理やりに没収することはできません。相手方が任意に弁済しない場合に、債権という自己の権利を実現するためには、訴訟等の司法手続を経る必要があります。

裁判で行うことによるメリット・デメリット

それでは、裁判をすることによるメリット・デメリットを説明します。

裁判・訴訟を活用する3つのメリット

強制的に問題を解決できる

1つ目のメリットは、強制的に問題を解決できることです。

裁判・訴訟は、司法機関である裁判所の関与のもと、問題を解決する手段です。裁判官が、公権的に主張の正当性がどちらにあるかを判断します。そうすると、裁判が始まってしまえば、問題解決に向かっていくだけになり、基本的にはどっちつかずの状態で終わってしまうということはありません。

また、裁判・訴訟によって債務名義を得て強制執行をすれば、相手方の財産から債権を回収できます。これには、相手方の支払意思は関係ありませんので、債権の確保についても強制的に問題を解決できるといえます。

所在不明の場合にも対応可能

2つ目に、相手方の所在が分からない場合には交渉をすることができませんし、住所がわからなければ内容証明郵便等の通知を送ることはできません。

しかし、裁判・訴訟は、相手方の住所が不明な場合でも公示送達という方法によって手続を開始することができます。

公示送達とは、「当事者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れない場合」等に、裁判所に所定事項の掲示を行うことで、一定期間後に送達の効果が発生するという制度です。

和解に発展させる可能性

3つ目に、和解に発展させる可能性があることです。

相手方が裁判・訴訟において自らの主張や反論をするならば、裁判・訴訟手続を進めていく中で、当方と相手方との間に共通認識ができます。また、裁判官も、双方の主張立証を勘案して、当該時点でどちらの言い分が正しそうかということを開示することがあります。これらを参考にしながら、お互いが譲歩できるのであれば、和解という方法で手続が終了することがあります。和解は判決とは異なり、話し合いの結果ではありますが、裁判外で共通認識がない状態で話し合いを進めるよりも実効的な話し合いができるといえます。

なお、和解調書(和解の結果を裁判官がまとめた文書)によっても強制執行ができますので、判決書と同一の効果があります。

裁判・訴訟を利用する3つのデメリット

回収が成功しない可能性もある

1つ目に、勝訴ないし有利な和解ができたとしても債権回収ができない可能性があることです。

勝訴や有利な和解締結に至ったとしても、直ちにお金が返ってくるわけではありません。最終的に金銭を手元に戻すには強制執行の手続が必要です。しかし、強制執行をしたとしても、相手方に執行対象となる財産がなければ、債権を回収することはできません。

労力・工数が一定数発生する

2つ目に、労力や工数が一定数発生することです。

裁判・訴訟には所定の手続が必要となります。裁判所において何らかの主張をする場合、基本的には自らの主張を書面にまとめて行います。そうした書面の準備や証拠の準備、裁判を進めていく中での手続を行っていくことが必要になります。また、裁判には一定の期間が必要となります。

訴訟を行うことによる弁護士相談のコスト

3つ目に、訴訟を行うことによる弁護士相談のコストがあります。

法的な議論や裁判・訴訟の遂行についていえば、専門家である弁護士に依頼するべきではありますが、弁護士に依頼することで一定の費用が発生することになり、その点はデメリットといえます。

裁判・訴訟を行う際の流れ

裁判・訴訟を行う際の流れを説明します。

証拠の収集

債権者としては、自己の主張の正当性を裏付けるために証拠を収集し、提出します。

回収したい債権が貸付金であれば、金銭消費貸借契約書や金銭交付の事実がわかる通帳の写し等を提出します。売掛金であれば、売買契約書や納品書等を提出します。いずれにしても、担当部署に準備してもらうことが必要でしょう。

裁判期日の実施

裁判期日においては、主張書面の提出や証拠の提出を行います。

裁判期日の進行は裁判官が主導して行いますが、期日の場で、主張書面や証拠の内容や意義について、裁判官又は相手方から説明を求められることがあります。

その後の進行予定と次回期日を決めて、当該期日は終了します。

これを、1か月~2か月のスパンで繰り返していき、当事者双方が主張と証拠の提出を行っていきます。

裁判終結

裁判期日を繰り返して、双方の主張と立証が出尽くしたという段階に至り、かつ、和解が成立しないということになれば、裁判は終結します。

それまでに顕れた双方の主張や証拠を前提に、裁判官が判決を下します。

債権回収で裁判・訴訟を利用する際の当事務所のメリット

これまでご説明してきたところからすると、債権回収問題における裁判・訴訟には弁護士の関与がほとんど必須といえます。それでは最後に、債権回収で裁判・訴訟を利用する際に当事務所にご依頼いただくことのメリットをご案内いたします。

複数の弁護士による迅速な対応

当事務所には複数人の弁護士が所属しており、それぞれ協同しながら各案件に対応させていただいております。それによって、ご相談をいただいてすぐに対応させていただくことが可能です。

企業法務の対応実績

当事務所は約80社の法人様と顧問契約を締結させていただいております。日頃から、顧問法人様のお困りのことに対応させていただいており、企業法務の対応実績が豊富にあります。また、顧問法人様の業界も多様で、様々な契約類型に対応することができます。ご相談いただいた企業様の業界慣習にも精通しており、より実効的なご助言が可能です。

債権回収問題が起きないための予防に関するアドバイス

さらに、本記事で紹介したような債権回収問題にも数多く対応させていただいております。そうした実績から、紛争が発生しない、紛争が長期化・肥大化しないような予防的アドバイスをさせていただくことも可能です。

債権回収問題でお困りの企業様は、ぜひ当事務所にご相談ください。