債権回収|岡山で債権回収に関するご相談は西村綜合法律事務所

債権回収に関する基礎知識

債権とは

債権とは、特定の人に対して「貸したお金を返せ」、「購入した物を渡せ」といった「債務」の履行を要求できる権利のことです。債務には、上記の金銭の支払い、物の引渡しの他にも、労務の提供等様々な種類があります。

債権回収の具体的な流れ

「債権回収」でいうところの債権は、一般的に上記の債権のうち金銭の支払いを求める債権をいいます。

 

そして、債権回収は約束通り支払ってもらえない債権を債務者に支払わせるための活動をいいます。債権回収の手続きの流れとしては次のようになります。

 

① 債権の内容や支払期限が到来しているか確認

② 任意の支払い請求(交渉)

③ 裁判所を利用した手続で債権の内容を確定させ、強制執行に必要な「債務名義」を取得する

④ 強制執行手続

 

 

債権回収を行うための手段・方法

内容証明郵便による催促・督促

任意の支払いを求める手段として、内容証明郵便で請求書を送付する方法があります。

 

内容証明郵便は、相手に送付されるほか、郵便局にも保管され、その書面の「内容」と「発送日」を日本郵政によって証明されるものになります。さらに配達証明を同時に利用することで、相手への到達日も証拠として残すことが可能です。

 

内容証明郵便での請求で相手へ心理的なプレッシャーを与えつつ、相手の出方をみる際や、時効中断のための催告、履行期の定めのない債権において履行を求めるための通知手段として利用することが想定されます。

 

「支払督促」の送付

金銭の支払いを求める場合、裁判所の支払督促手続を利用することが可能です。

 

支払督促手続は、裁判所に対して支払督促の申立てをすることで利用できます。裁判と違い、証拠書類を添付する必要はなく、簡易な手続で利用することができます。

申し立て後は、裁判所からの書面が債務者に送付され、債務者が2週間以内に異議が出なかった場合、仮執行宣言を付すよう申立てを行い、それに対しても債務者が異議を出さない場合は、申し出た内容に基づき強制執行をすることが可能です。

 

異議が出された場合は、通常の裁判手続に移行することになります。

 

裁判所への調停の申し立て

任意の交渉では難しい場合、裁判所を通して協議を行う手続として、民事調停という手続があります。
これは簡易裁判所に調停の申立てをすることで利用することができます。民事調停は、民事に関する法的な紛争で利用することができ、債権の内容に争いがある場合や支払いを求める場合の他、物の引渡し等、幅広く利用することが可能です。

 

民事調停において合意が成立すると、裁判所にて調停調書が作成されます。この調停調書に定めた内容に債務者が従わなければ、調停調書に基づき強制執行をすることが可能となります。

 

60万円以下の場合:少額訴訟手続

60万円以下の金銭の支払いを求める場合、通常の訴訟手続よりも簡易な「少額訴訟」手続を利用することが出来ます。

 

少額訴訟手続は、原則一回の期日で審理を行い、証拠書類や証人についても、審理の日に即時に調べられるものに限定されます。判決内容も分割払いや支払い猶予等、通常であれば和解手続で決められるような内容の判決が言い渡される場合もあります。

 

仮差押・仮処分の手続き

裁判手続を利用した場合、申立てをしてから終了するまではどうしても時間がかかります。その間に、債務者が保有する財産を処分したり、隠したりしてしまえば、裁判で債権が確定した後に現実に債権を回収したり、財産を特定して強制執行をしたりすることが難しくなります。

 

そこで、事前に債務者による財産の使い込みや隠匿等を防ぐため、民事保全法に基づき仮で財産を差押える手続として、仮差押、仮処分があります。

 

通常訴訟手続

債権の存在に争いがある場合や、交渉の結果、債権者が任意の債務履行に応じない場合は、訴訟手続を利用することになります。

 

通常訴訟の場合は、訴状と証拠書類、その他必要書類をそろえて裁判所に訴えを提起し、裁判所で債権、債務の存在について審理、判断をしてもらうことになります。

 

訴訟の途中で、分割払いの和解をすることもありますが、和解が難しい場合は判決が言い渡されることになります。判決が出て相手に送達されてから2週間以内に控訴されなければ判決の内容が確定し、強制執行をすることができます。

 

強制執行手続

裁判の結果、債務の履行を命ずる判決が下され、または債務を履行する内容で調停が成立した場合で、債務者がその通り債務を履行しない時は強制執行手続をすることになります。強制執行は、裁判所に強制執行の申立てをすることで行うことが出来ます。

 

強制執行の対象財産としては、相手方の預貯金、動産、不動産、売掛金等の債権が想定されます。これらをある程度特定したうえで手続をする必要がありますので、債務者の財産を調査・特定しておくことが肝要となります。

 

 

債権回収を行ううえで注意すべきポイント

ポイント①:債権には時効が存在する

債権には民法、商法その他の法令で時効が定められています。民法上の債権の時効についても2020(令和2)年4月1日に施行された改正民法で次の通りルールの変更が行われました。

 

①改正前の民法(民法166、167条)
債権者が権利行使をできることを知った日から10年

 

②改正民法(民法166条第1項、第2項)
債権者が権利行使をできることを知った日から5年又は権利行使ができる時から10年

 

その他、債権の内容に応じて個別に法律で時効が定められている場合もあります。債権が発生してからある程度時間がたっている場合、時効の問題が生じる可能性がありますので、早めのご相談をおすすめします。

 

ポイント②:債務者の状況を確認する(現住所・財産等)

交渉や裁判手続を利用する場合、書類送付のため、まずは相手の住所を把握しておく必要があります。住所が分かれば、現実の居所が分からない場合でも、裁判手続を利用することが出来ます。

 

また、可能な限り財産(貯金口座や保有不動産)も把握しておくべきです。弁護士にご依頼いただいた場合、弁護士法23条の2照会手続等を利用して財産調査を行うことも可能です。

 

ポイント③:債務者側が債務整理を行ってしまったら?

相手が法的な債務整理(破産・民事再生)を行った場合は、債権者の債権はその手続内で処理されることになります。
確実な回収を実現するためには、可能な限り人的・物的な担保として連帯保証人や不動産への抵当権を設定しておくべきです。

 

 

債権回収を弁護士に依頼するべき理由

理由①:有利な交渉が可能

弁護士は法交渉のプロフェッショナルです。弁護士に交渉を依頼することで、債権回収の交渉を有利に進め、回収可能性をあげることが可能となります。

 

理由②:複数の方法から最適な方法についてアドバイス

上記の通り、債権回収のために利用する手段、方法は様々です。債権の内容や金額に応じて、弁護士が案件に応じた最適な手段を検討し、手続の内容や費用面のご説明、アドバイスをさせていただきます。

 

理由③:訴訟や強制執行等の対応が可能

訴訟手続や強制執行の手続はいずれも裁判所に出すための書類の準備や、手続に関して高度な専門知識が求められます。裁判所に問い合わせても、提出書類に関する助言はしてくれますが、手続の進行や書類の内容まで踏み込んでのアドバイスしてくれません。

 

その点、弁護士に依頼をすることで書類作成や手続を全て任せていただくことが可能です。

 

 

当事務所のサポート内容

当事務所では、債権回収について、交渉から債務名義取得のための各種裁判手続、保全手続、債務名義取得後の強制執行まで一貫してサポートすることが可能です。

 

まずはご相談をお聞きし、各案件に最適な手続を検討し、アドバイスをさせていただきます。
債権回収については、ぜひ、弁護士までご相談下さい。