交通事故で重要な自賠責要式の診断書、診療報酬明細書【弁護士執筆】

交通事故でけがをしたら、病院で「自賠責要式の診断書と診療報酬明細書」が作成されます。これらの書類は、自賠責保険が損害賠償金を算定するときの資料になり、被害者にとって非常に重要な書類です。

今回は、自賠責要式の診断書や診療報酬明細書の重要性と、着目すべきポイントについて、西村綜合法律事務所の弁護士が解説します。

交通事故で重要な自賠責要式の診断書、診療報酬明細書について

交通事故でけがをすると、入通院によって治療を受けますが、このとき、病院で「自賠責要式の診断書と診療報酬明細書」を作成してもらう必要があります。

これらの書類の記載内容により、後に相手の保険会社に請求できる賠償内容が変わってきてしまうことがあります。

自賠責要式の診断書とは

診断書は、患者の症状や状態、今後の治療見込みなどを記載する書類で、患者を診ている医師が作成するものです。

そして、診断書には、自賠責要式の定まったものがあります。自賠責保険から治療費や慰謝料の支払いを受けるために必要となるもので、通常、1ヶ月に1回作成されます。

自賠責要式の診療報酬明細書とは

診療報酬明細書とは、患者の毎月の通院頻度や、行った治療の内容、かかった費用の明細などが細かく書かれています。

この書類も、自賠責保険から治療費や慰謝料の支払いを受けるために必要で、通常は、自賠責要式の診断書とともに、月1回、作成されます。

必要になる場面

自賠責要式の診断書と診療報酬明細書は、自賠責保険が損害賠償金を算定するための資料とするものです。

そこで、自賠責から治療費や慰謝料などの支払を受けるために、必須です。通常、これらの書類は、病院から自賠責保険に直接送付されているので、被害者が取り寄せて自賠責保険に送る必要はありません。

しかし、後遺障害の認定で「被害者請求」をするときには、診断書と診療報酬明細書を、被害者自身が入手しなければなりません。そして、相手の自賠責保険に送付する必要があります。

取り寄せる方法

自賠責要式の診断書と診療報酬明細書を入手したいときには、かかっている病院に対し、これらの書類の送付依頼を行います。通常は、書類で依頼書を出します
すると、しばらくして、病院から一式の書類を送ってもらうことができます。
病院によっては送付までの期間が長くなることがあり、費用がかかることも多いです。

自賠責要式の診断書や診療報酬明細書の記載内容1つで、後遺障害が認定されたりされなかったりすることもあるので、これらは非常に重要な書類です。

後遺症認定に向けた注意事項

後遺障害認定請求で必須

自賠責要式の診断書と診療報酬明細書は、後遺障害の認定を受けるときに必須となります。

後遺障害認定の方法には事前認定と被害者請求の2種類がありますが、より確実に認定を受けるためには
被害者請求を利用すべきです。そして、被害者請求では、自賠責要式の診断書と診療報酬明細書の提出が必要となるからです。

診断書や診療報酬明細書に書かれている内容次第で、後遺障害の認定結果が変わってしまうこともあります。

記載内容で着目すべきポイント

月ごとの診療報酬明細書には、その月の入通院の日数や、実施された検査の内容などが記載されています。そこで、これを見ると、どのくらいの頻度で通院しており、どのような治療を受けたのかがわかります。

診断書には、症状の経過や治療の内容、今後の見通し、後遺障害の有無などが記載されます。その内容が、後遺障害認定に非常に重要です。

たとえば、「後遺障害の有無について」の欄に「なし」と書かれてしまうと、それだけで後遺障害認定を受けられなくなってしまうこともありますし、転帰の欄の「治癒」に丸をつけられると、症状が完治されたと判断されてしまいます。また、症状の内容に誤記があると、「交通事故の内容と矛盾している」と判断されて、やはり後遺障害の認定を受けられなくなることがあります。

病院から自賠責要式の診断書や診療報酬明細書を取り寄せたら、自分でもその内容を確かめて、正しく作成されているのかや、どのようなことが記載されているのか確認しておきましょう。

具体的に、どのような記載をしてもらうべきか、どういった点に注意すべきかについては、他にも多くの着目ポイントがあります。当事務所では、後遺障害認定を非常に得意としており、診断書や診療報酬明細書の取り寄せ、チェックも行っております。