むちうちや腰椎捻挫になったときにMRIが重要な理由【弁護士執筆】
目次
むちうちや腰椎捻挫になった際のMRI検査の必要性
交通事故に遭うと、むちうちや腰椎捻挫になってしまうことが非常に多いです。
こうしたケースではMRI検査により、症状を証明することが非常に重要となってきます。
今回は、むちうちや腰椎捻挫になったときにMRIが重要な理由について、
西村綜合法律事務所の弁護士が解説します。
むちうち、腰椎捻挫では、後遺障害が認定される
むちうち(頸椎捻挫、外傷性頸部症候群)や腰椎捻挫は、交通事故で、
頸椎や腰椎が不自然なかたちに「しなる」ことによって発症します。
こうした症状が残った場合、後遺障害の認定を受けることができます。
後遺障害認定を受けると、認定された等級に応じて後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できるので、
加害者から支払われる賠償金の金額が、大きくアップします。
MRIで症状を証明すると、12級が認定される
むちうちや腰椎捻挫で認定を受けられる後遺障害の等級は、12級か14級です。
12級になると、後遺障害慰謝料も逸失利益も一気に増額されるので、できる限り12級の認定を目指す方が、
被害者にとっては利益となります。たとえば、14級の後遺障害慰謝料は110万円ですが、12級の後遺障害慰謝料は290万円です。
ただ、12級の認定を受けるためには、症状があることを、医学的に明確に証明する必要があります。
その具体的な方法として重要なのが、MRI検査です。
MRIを利用すると、椎間板の状態や、神経根や脊髄の圧迫の有無などを確認することができますし、椎間板ヘルニアを発見できることもあります。
事故直後の腰椎や頸椎の状態を保存しておくため、MRI検査は、交通事故後速やかに実施しておく必要があります。
MRIの精度について
MRI検査機器には、いろいろな精度のものがあるので、注意が必要です。
MRIの解析度は「テスラ」という単位で把握されるのですが、現在のMRI検査機器は、解析度が高い1.5テスラのものと、低い0.5テスラのものが主流です。そこで、解析度が低いMRI検査機器を使っても症状が確認できなかったとき、高い解析度のMRI機器を利用すると、症状が写ることもあります。
むちうちや腰椎捻挫になったときには、より高い精度の検査機器を揃えている医療機関にかかる必要があると言えます。
ムチウチのその他の代表的な検査方法
むちうちの代表的な判別検査には、下記にご紹介する検査方法があります。
①スパーリングテスト
スパーリングテストとは神経学的なテストで、神経根障害について調べる検査です。
この検査を行い、もし神経根に障害があれば、神経根の支配領域にある放散痛(広く外側に散らばるような痛み)やしびれが生じます。そのため、交通事故の被害者は日常的に感じているむちうちの症状や、
その症状がさらに悪化した痛みを感じるようになります。
スパーリングテストのほかに、同じ目的の検査方法にはジャクソンテストと呼ばれる検査もあります。
②筋萎縮テスト
継続的に神経の麻痺が起こっている場合、筋は萎縮をします。
筋萎縮テストとは、筋萎縮の程度を測る検査であり、両上肢の肘関節の上下10cmのところの上腕部と
前腕部の腕周りを計測し、むちうちかどうかを判断します。
③深部腱反射テスト
深部腱反射テストとは、腱をゴムのハンマーで叩き筋に刺激を与えたときに起こる反射(筋収縮)の有無を確認するテストのことです。もし正常な場合であれば、上腕二頭筋は屈曲しますが、腕橈骨筋の場合は前腕が屈曲し、上腕三頭筋は伸展します。
しかし、もし脊髄に異常がある場合は、反射は亢進(こうしん)を示します。
また、神経根に異常が認められるときは、反射は低下するかもしくは消失します。
むちうちの治療時に知っておきたい4つのポイント
むちうちになると、肩や首の痛みやしびれなどが発生してしまうので、
まずは治療を継続しなければなりません。このとき、注意しておかなければならない重要なポイントが4つあります。
今回は、むちうちの治療を受けるときに重要なポイントについて、
西村綜合法律事務所の弁護士が解説します。
1.整形外科を受診する
むちうちになったら、整形外科や整骨院、整体院などを受診することが考えられますが、
この中で、まず受診すべきなのは「整形外科」です。
整形外科は、医師が診察してくれる「病院」であり、「治療」を受けることができますが、
整骨院では医師ではなく「柔道整復師」が対応するので、治療を受けることはできません。
整体院は、無資格な人が対応するので、保険の適用すらないのです。
整形外科を受診しておかないと、後に保険会社に治療費や慰謝料を請求するときや後遺障害の認定を受けるときに、困難となります。
交通事故に遭ったら、まずは整形外科に行きましょう。
2.整骨院を受診するなら、医師の承諾を得る
症状がある程度落ち着いてきたら、整骨院を受診することもあります。
その場合、自己判断で整骨院に通院すると、病院や保険会社との間で、トラブルが発生しやすいです。
整骨院へ通院を開始するときには、必ずかかっている医師による同意・承諾を得てからにしましょう。
3.通院頻度は週3~4日以上
むちうちで通院するとき、ある程度以上の頻度で通院することが重要です。
週1回などしか通院していない場合、保険会社から「通院の必要性がない」と言われて、治療費や慰謝料を支払ってもらえなくなる可能性があるためです。
そこで、最低でも週3日、できれば4日以上は通院を続けるようにしましょう。
4.症状固定するまで治療を継続する
むちうちで通院を継続していると、相手の保険会社から「そろそろ治療は終わり」と言われたり、治療費の支払いを打ち切られたりすることがあります。
しかし、そのような場合でも、「症状固定」するまで、治療を継続しなければなりません。症状固定するまで通院しないと、必要な治療を受けられないことになりますし、入通院慰謝料が減額されたり、後遺障害の認定を受けにくくなってしまったりするためです。