その残業代、きちんと割増されていますか?残業代と割増賃金を弁護士が解説
残業代の割増率を正しく把握している方は企業側・従業員側どちらにおいてもそう多くありません。
加えて、企業側(使用者側)においても適切な計算により残業代を支給しているとは限らず、従業員が知らないことにつけ込んで実態より少ない残業代支給で済ませてしまっているケースも散見されます。
今回は、働く時間帯や休日労働(休日出勤)などにより複雑に変わってくる割増率について解説するとともに、適切な割増率ではない残業代、つまり未払い残業代に関するトラブルの対処法などについて解説いたします。
残業代のルール
法定時間外労働に対して支払われる
日本の労働基準法は、労働者の健康と福祉を守るために、週40時間及び1日8時間を法定の労働時間として定めています。
これを超える労働は「時間外労働」とみなされ、企業(使用者)は労働者に対して割増賃金を支払わなければなりません。
たとえば、ある週に42時間働いた場合、2時間分の残業代が割増賃金として支払われる必要があります。この制度は、企業が労働者に無制限の労働を強いることを防ぎ、労働者の生活を保護するために設けられています。
割増賃金が発生する
割増賃金は、基本的には通常の労働時間の賃金の2割5分以上の率で計算します。
この割増率は、労働基準法で定められており、過重な労働に対する労働者への補償を行う趣旨から定められたものです。そして、深夜労働や休日労働については、さらに高い割増率が適用されます。
この割増賃金の支払いは、労働者が時間外労働に対して適切な対価を受け取るための重要な仕組みです。
36協定を結ばなければ、使用者は残業をさせることができない
36協定は、法定労働時間の延長を可能にするための労使間の合意です。
この協定には、労働時間の延長の範囲、割増賃金の率、実施期間などが明記されています。36協定がなければ、企業は法定労働時間を超えて労働者に働かせることができません。
これは、企業が法定労働時間を超える労働を一方的に要求できないようにするための仕組みです。
「おかしいな」と感じたら弁護士にご相談ください
残業代が適切に支払われていない、または36協定が適切に運用されていないと感じたら、その疑問を放置せず、早急に弁護士に相談することが重要です。
弁護士は、ご相談者様の状況を詳細に分析・整理し、適切な法的手続きを通じて、ご相談者様にとって有利な結果を追求します。未払い残業代の請求や、違法に長時間残業が続いている場合の対処などさまざまなサポートを提供することが可能ですので、まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
残業と割増賃金の仕組み
時間外労働の割増率は2割5分以上
日本の労働基準法において、労働者が週40時間、1日8時間を超えて働いた場合、その超過労働時間について1.25倍以上の割増賃金が保証されています。
この措置は、企業が労働者に過度な労働を強いることを防ぎ、労働者の健康と福祉を守るために設けられています。たとえば、時給1,000円の労働者が法定労働時間を超えて1時間働いた場合、その1時間については1,250円の賃金が支払われることになります。
法定内残業に割増率はありません
法定労働時間内での労働には割増賃金は適用されません。
つまり、週40時間、1日8時間以内の労働に対しては、通常の賃金が支払われます。この区分は、労働者が基本的な労働時間内でのみ働くことが想定されているため重要です。
深夜労働の場合
午後10時から午前5時までの時間帯の労働、いわゆる「深夜労働」には、労働者の健康への影響を考慮して、さらに高い割増賃金が設定されています。
深夜労働は、日中の労働に比べて身体的および精神的な負担が大きいとされ、これを補償するために通常よりも多くの割増賃金を支払わなければならないと定められています。
時間外労働かつ深夜残業の割増率は5割以上
法定労働時間を超えかつ深夜時間帯に労働した場合、つまり時間外労働と深夜労働とが重複した場合、5割以上の割増率が適用されます。
これは、労働時間規制と深夜労働規制とはその趣旨・目的が異なり、労働者が受ける二重の負担を考慮したものであり、労働基準法によって保護されています。例えば、深夜の時間帯に2時間残業した場合、通常の賃金の1.5倍の金額が支払われます。
時間外労働のうち月60時間を超える部分の割増率は5割以上
労働者が月60時間を超える時間外労働をした場合、60時間を超えた部分については、5割以上の割増率が適用されます。これは、長時間労働の健康への悪影響を軽減し、労働者を保護するための措置です。
休日労働(休日出勤)の割増率は3割5分以上
通常の休日に労働した場合、その時間については、3割5分以上の割増率が適用されます。休日は労働者が休息を取り、リフレッシュするための重要な時間です。その休息の機会を失うことの補償として、休日労働には高めの割増率が設定されています。
時間外労働の賃金が割増されていない時の対処法
割増されていないあるいは支払われていない場合の証拠を集める
労働者の残業代が適切に支払われていないと感じた際に最初に行うべきことは、労働時間の記録、給与明細、シフト表、タイムカードのコピーなど、具体的な証拠を集めることです。
これには、電子メールやメモ、労働者と管理者間のやりとりを記録した文書など、残業を指示されたことを示す証拠も含まれます。これらの証拠は、後の交渉や訴訟において、残業が行われたことと適切な賃金が支払われていないことを証明するために不可欠です。
未払い残業代を請求する
証拠が集まったら、それを基に企業側(使用者側)に対して未払い残業代の請求を行います。
請求の際には、労働基準法に基づく適切な割増賃金を含めて、未払い分の正確な計算を行う必要があります。
この計算には、通常の時給に対する割増率の適用や、深夜労働や休日労働に対する特別な割増率を考慮することが含まれます。計算方法や請求の手順については職場の状況や労働時間の管理体制によって千差万別ですので、弁護士に相談しながら進めることをお勧めいたします。
残業代請求に強い弁護士に相談する
残業代請求は、場合によっては雇用主との間で複雑な交渉や訴訟を伴うことがあります。
特に、企業側が請求を受け入れない場合や、未払い残業代の金額が大きくかつ複数人を巻き込んで大規模な問題となっている場合には、労働審判や訴訟などの裁判に発展するケースがあります。
このような状況であっても最善の対処が可能なのが、労働法に精通し残業代請求の経験豊富な弁護士です。弁護士は、証拠の整理から未払い残業代の請求手続き、交渉、必要に応じて裁判まで、包括的な支援を行うことができます。
残業代トラブルを弁護士に相談するメリット
証拠の収集方法や種類について最善のアドバイスを受けられる
残業代請求を行う際には、請求の根拠となる具体的な証拠の収集が必須です。証拠としては、以下のようなものが考えられます。
- 労働時間の記録:タイムカードや勤怠管理システムのログ、手帳やカレンダーへの記入など、労働時間を証明できるもの
- 給与明細:残業代の計算の有無、またはその計算の正確さを確認できるもの
- 労働契約書や就業規則:残業に関する規定や合意された労働条件を証明できるもの
- 電子メールや書面による残業指示の記録:残業を指示されたことを証明できるもの
しかし、必ずしもこれらが揃っていなかったとしても、施設の入館・退館の記録、通話履歴あるいは日記などでも証拠となりうる場合があります。分かりやすい証拠がなかったとしても泣き寝入りせず、まずは弁護士に状況を説明しアドバイスを仰ぎましょう。
会社側との交渉を代理してもらえる
未払い残業代を個人で請求する場合、企業側と直接と話し合いをしなければなりません。
しかし、弁護士に依頼して交渉や請求手続きを代理してもらうことで、直接の話し合いを避けることが可能です。
弁護士は、専門的な知識に基づいて毅然とした対応を取りますので、相談者様の利益を最大限追求した解決に近づきます。
残業代請求の成功率が高まる
残業代請求に強い弁護士に依頼すれば、残業代請求の成功率は個人で進めるよりも高くなります。
これは、弁護士が法律のことを熟知しており、経験も豊富だからです。弁護士は、必要な証拠を収集し、法律の手続きに則り、あなたの請求をしっかりと主張します。場合によっては、裁判も視野に入れながら相談者様の権利を守ります。
残業代でお悩みの方は西村綜合法律事務所までご相談ください
岡山にお住まいで、残業代の支払いに関するお悩みがある方は、西村綜合法律事務所までぜひご相談ください。
当事務所では、岡山で働く皆様の力になりたいという思いから、初回相談だけでなく交渉の着手金も無料とさせていただいております。
また、オンラインでの法律相談も可能ですので、遠方の方や多忙な方にも便利です。経験豊富な弁護士が、迅速かつご相談者様にとって有利な解決策をご提案いたします。どうぞお気軽にご相談ください。