労災に上乗せできる特別支給金って?

特別支給金とは

労災保険の給付に上乗せされる補償です

特別支給金とは、労災保険の給付に追加される補償のことです。

労災保険は、労働者が業務上の理由で負った傷病や死亡に対して基本的な給付を行いますが、特別支給金はそれに加えて、より手厚い補償を提供します。

労災の特別支給金の支給要件とは

特別支給金を受け取るためには、いくつかの要件を満たす必要があります。

例えば、労災保険の対象となる事故や病気であること、適切な申請手続きを経ていることなどが求められます。具体的な要件は、各種類の特別支給金によって異なります。

また、労災保険給付の支給要件と同一の内容になりますので、1つの要件に該当すれば特別支給金および労災保険給付のいずれも受け取ることが可能です。しかし注意点として、療養補償給付金などの治療を無料で受けられるような給付金のみであった場合は特別支給金を受け取ることは不可能になります。

もちろん労災のご状況は千差万別ですので、支給要件にご自身が該当するか否かについての判断は弁護士にご相談いただいた上で進めていくことをおすすめいたします。

特別支給金は全部で9種類

特別支給金には次の9種類があります。それぞれの種類に応じて、支給される金額や条件が異なります。

  • 休業特別支給金
  • 障害特別支給金・障害特別年金・障害特別一時金
  • 傷病特別支給金・傷病特別年金
  • 遺族特別支給金・遺族特別年金・遺族特別一時金

次の項では、主な種類とその内容を説明します。

労災の特別支給金っていくら貰えるの?

休業特別支給金

休業特別支給金は、労働者が業務上の負傷や病気で休業した場合に支給される特別支給金です。休業中の生活を支えるための補償として、休業1日につき一定額が支給されます。

具体的な金額としては、休業の4日目以降、1日につき給付基礎日額の20%に相当する金額を上乗せ受給することが可能です。

障害特別支給金・障害特別年金・障害特別一時金

障害特別支給金は、労災により障害を負った労働者に対して支給される補償です。障害の程度に応じて一時金または年金として支給されます。

例えば、重度の障害を負った場合には年金として継続的に支給され、軽度の障害の場合には一時金として支給されます。

障害特別支給金 労災による怪我・病気等で障害が残ってしまった場合 1級:342万円
2級:320万円
3級:300万円
4級:264万円
5級:225万円
6級:192万円
7級:159万円
8級:65万円
9級:50万円
10級:39万円
11級:29万円
12級:20万円
13級:14万円
14級:8万円
障害特別年金 労災による怪我・病気等で障害等級1~7級の障害が残ってしまった場合 1級:313日分
2級:277日分
3級:245日分
4級:213日分
5級:184日分
6級:156日分
7級:131日分
障害特別一時金 労災による怪我・病気等で障害等級8~14級の障害が残ってしまった場合 8級:503日分
9級:391日分
10級:302日分
11級:223日分
12級:156日分
13級:101日分
14級:56日分

傷病特別支給金・傷病特別年金

傷病特別支給金は、労災による傷病が治癒せず、長期間にわたる療養が必要な場合に支給される補償です。傷病が続く限り、定期的に年金として支給されます。

傷病特別支給金 労災によるケガや病気が、療養を開始してから1年6月経過しても治癒せず、かつ、傷病等級に該当するとき、又は後日同様の条件に該当するようになったとき

※傷病等級に応じて支給される

1級:114万円
2級:107万円
3級:100万円
傷病特別年金 労災によるケガや病気が、療養を開始してから1年6か月経過しても治癒せず、かつ、傷病等級に該当するとき、又は後日同様の条件に該当するようになったとき
※傷病等級に応じて支給される
1級:313日分
2級:277日分
3級:245日分

遺族特別支給金・遺族特別年金・遺族特別一時金

遺族特別支給金は、労災で労働者が死亡した場合に、その遺族に支給される補償です。一時金としてまとまった金額が支給されるほか、遺族の生活を支えるために年金として継続的に支給される場合もあります。

遺族特別年金 労災によって労働者が死亡した場合
※遺族(配偶者(事実上婚姻と同様の事情にあった者を含む。以下同じ。)、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹)の数等に応じて支給される
1人:153日分
2人:201日分
3人:223日分
4人以上:245日分
遺族特別一時金 労災によって労働者が死亡した場合

※遺族(配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹)の右記の状況に応じて支給される

労働者の死亡の当時遺族補償年金を受けることができる遺族がいないとき:算定基礎日額の1000日分

遺族補償年金を受ける権利を有する者の権利が消滅した場合、他に当該遺族補償年金を受けることができる遺族がなく、既に支給済みの遺族特別年金の合計が算定基礎日額の1000日分に満たないとき:1000日分から遺族補償年金の合計額を控除した額

 

労災の特別支給金の注意点・知っておくべきポイント

特別支給金の申請方法

特別支給金を受け取るためには、所定の申請手続きを行う必要があります。申請書類を揃え、労働基準監督署に提出します。

申請に際しては、必要な書類や証明書を漏れなく揃えることが重要です。

申請から支給までの期間

特別支給金の申請が受理されてから実際に支給されるまでには一定の期間がかかります。通常、申請内容の確認や必要な審査を経て支給が決定されます。具体的な期間は、申請内容や混雑状況によって異なります。

厚生労働省による目安としては、概ね以下のとおりです。

  • 負傷・疾病の場合 1ヶ月
  • 休業補償の場合 1ヶ月
  • 障害の場合 3ヶ月
  • 死亡の場合 4ヶ月

損益相殺の対象に特別支給金は含まれません

特別支給金は、労災保険の給付とは別に支給されるため、他の補償や保険金と損益相殺の対象にはなりません。つまり、特別支給金は労災保険の給付に上乗せされる形で支給されるため、他の補償と重複して受け取ることが可能です。

労災に遭った時の相談先って?

労働基準監督署

労災に遭った場合、まずは労働基準監督署に相談することが重要です。労働基準監督署は、労働者の権利を守るための行政機関であり、労災保険の申請手続きや労働条件に関する相談に応じています。

労災に強い弁護士に相談

労災に関する問題は、専門的な知識を持つ弁護士に相談することが有効です。特に、労働契約上の安全配慮義務違反(ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入った当事者間において、使用者が上労働者の安全に配慮する雇用契約上ないし信義則上の義務)や民法709条に定める不法行為に関する問題がある場合、弁護士のサポートを受けながら会社側へ損害賠償請求をご検討ください。

労災のお悩みは西村綜合法律事務所へ!

労災に関する問題や特別支給金の申請についてのご相談は、西村綜合法律事務所にお任せください。初回相談は無料で行っており、オンライン面談も可能ですので、遠方にお住まいの方やご多忙な方もご利用いただけます。

経験豊富な弁護士が迅速かつ適切に対応いたします。お気軽にご相談ください。