仕事中・業務中の死亡事故(労災)で慰謝料や損害賠償は請求できる?
今回は、労災による死亡事故で請求できる損害賠償の相場や会社側に請求できる補償内容、業務中の死亡が労災と認められる条件、労災による死亡慰謝料や損害賠償を会社に請求する流れなどについて詳しく解説します。
目次
労災による死亡事故で請求できる慰謝料について
死亡慰謝料の相場
まず、労災による死亡事故で請求する慰謝料は、2000万円から3000万円程度とされています。
この金額は、事故の状況や被害者の家族構成、収入状況などによって変わります。
例えば、若い世代の働き盛りの方が亡くなった場合、家族に対する影響が大きいため、最終的に受け取ることのできる金額が大きくなる傾向があります。いずれにせよ、具体的な状況に応じて詳細な計算が必要ですのでまずは弁護士へご相談ください。
会社側に請求できる主なもの
死亡慰謝料
死亡慰謝料は、被害者の家族が受ける精神的な苦痛に対する補償です。
例えば、家庭の支えであった両親が労災事故で亡くなった場合、残された子の精神的な打撃は計り知れません。このような苦痛に対して、会社に対して慰謝料を請求できる場合があります。
死亡逸失利益
死亡逸失利益は、被害者が生きていれば将来得られたであろう収入の補償です。
例えば、働き盛りの年齢で亡くなった場合、将来得られたはずの収入が失われるため、その分を補償として請求することが可能です。
葬儀費用
葬儀費用は、被害者の葬儀にかかる費用の補償です。葬儀には多額の費用がかかるため、これを会社に請求することができます。具体的には、葬儀場の使用料、棺、遺族の交通費などが含まれます。
注意!死亡事故の補償は労災保険からは降りません
労災による死亡事故の場合、労災保険からの補償は通常の労働災害補償とは異なるため、注意が必要です。
労災保険は、被害者の治療費や休業補償、遺族年金などをカバーしますが、死亡慰謝料や逸失利益などはカバーしません。したがって、労災保険の補償だけでなく、会社に対する直接の補償請求も検討する必要があります。
労災保険でカバーされない部分については、会社の責任を追及し、適切な補償を求めることが必要です。
業務中の死亡が労災と認められる条件
(1)会社の指揮命令下で起こったことだと立証する(業務起因性)
業務起因性とは、事故が会社の指揮命令下で発生したことをいいます。
例えば、建設現場で作業している労働者が、現場監督の指示に従って重機を操作中に事故に遭った場合、それは業務起因性があると認められます。
他には、営業マンが会社の指示で出張中に交通事故に遭った場合も、同様に業務起因性が認められます。
会社は、従業員に対して業務中の安全を確保する責任を負っているためです。
(2)業務もしくは業務に付随する行為で起こったことだと立証する(業務遂行性)
業務遂行性とは、事故が業務中もしくは業務に関連する行為中に発生したことをいいます
例えば、会社のイベントに参加するために移動中の社員が交通事故に遭った場合、それは業務に付随する行為とみなされます。また、配送業者が荷物を配達するために移動中に事故に遭った場合も、業務遂行性が認められるでしょう。
労働者が業務を遂行するために必要な行為中の事故は労災として認められることが一般的です。
労災を主張できないケース
業務を離れている時や私用の際に起こったこと
業務を離れている時や私用の際に発生した事故は、労災と認められません。
例えば、昼休み中に私的な用事で外出し、その途中で事故に遭った場合は、労災の対象外となります。
会社や上司の指示に従わずに起こったこと
会社や上司の指示に反して行動した結果、事故が発生した場合も労災と認められません。
例えば、上司からの安全指示を無視して危険な作業を行い、事故を起こした場合がこれに該当します。
天災など通常は発生しない現象に基づくもの
天災など通常は発生しない現象により発生した事故も、労災として認められません。
例えば、地震や台風による事故の場合、業務遂行性を証明するのは困難です。
労災による死亡慰謝料や損害賠償を会社に請求する流れ
労災の申請
まず、労災の申請を行います。所定の申請書類を作成し、必要な証拠資料を添付して労働基準監督署に提出することから始まります。
申請書には事故の詳細や被害者の情報を記入し、添付資料として医師の診断書や死亡証明書が必要です。労働基準監督署に申請することで、労災保険からの給付を受ける手続きが開始されます。
証拠の収集
事故の状況を証明するための証拠を収集します。
例えば、現場の写真や事故当時の作業環境の記録、目撃者の証言、事故発生時の作業記録などが必要です。
工場で機械に巻き込まれて死亡した場合であれば、事故現場の写真や作業指示書、目撃者の詳細な証言が証拠として有効です。
会社との示談交渉および慰謝料・損害賠償請求
収集した証拠をもとに、会社と示談交渉を行います。
この段階で死亡慰謝料や逸失利益、葬儀費用などの請求を具体的に進めます。
工場で機械に巻き込まれて死亡した場合であれば、労働者の家族は会社に対して、死亡慰謝料、逸失利益として被害者が生涯に得るはずだった収入の一部、さらに葬儀費用の請求などを行います。
交渉が決裂すれば、労働審判や訴訟に進みます
示談交渉がまとまらない場合は、労働審判や訴訟に進みます。
労働審判は、簡易迅速に解決を図る手続きであり、労働者と会社の間で公正な判断を行うための場です。労働審判が不成立の場合は、訴訟に進みます。
訴訟は最終的な法的解決手段であり、裁判所での審理を経て判決が下されます。訴訟に進むことで、会社側に対して賠償を命じる判決が言い渡されることもあります。
労災による死亡事故を弁護士に相談するメリット
死亡慰謝料や逸失利益を正しく計算できる
弁護士は法律の専門知識や交渉経験を活かし、死亡慰謝料や逸失利益の適正な算定を行うことが可能です。
例えば、被害者が生涯にわたって得られるはずだった収入を算定し、それに基づいて逸失利益を求めることができます。また、死亡慰謝料についても、被害者の年齢や家族構成、事故の状況などを考慮して適正な金額を算定することが可能です。
会社に言いくるめられず法的な主張ができる
労災事故が実際に発生すれば、会社側から自社に過失がなかったと主張されることも少なくありません。弁護士に相談すれば、会社側の不当な主張に対抗して適切な反論・交渉を行うことができます。
適切な証拠収集のアドバイスを受けることができる
労災の立証には、事故の詳細を証明するための具体的な証拠が必要です。
弁護士は、労災の証拠収集に関する具体的なアドバイスを提供することが可能です。事故現場の写真、作業日誌、目撃者の証言、労働条件に関する書類など、どのような証拠が必要かを状況に応じてお伝えします。
労災のご相談は西村綜合法律事務所まで
労災による死亡事故に関するお悩みは、西村綜合法律事務所にご相談ください。地元岡山に密着し、初回相談は無料で提供しています。オンライン面談も可能なので、遠方にお住まいの方やご多忙の方でもご利用いただけます。経験豊富な弁護士が迅速に対応し、ご相談者様にとって有利な解決策を見つけるお手伝いをいたします。