仕事中に機械に巻き込まれて怪我をしたら – 挟まれ事故などの労災に強い弁護士
労働をしていると、職種によっては機械や器具に挟まれたり、巻き込まれたりといった事故が起こるリスクは常に付きものです。人間の力とは比べ物にならない機械や器具による事故の場合、負ってしまう怪我も重大なものとなるケースが多く、手足の指先を失ってしまったり、最悪のケースでは亡くなってしまうケースも現実には存在します。
こうした事故は、本来、万全の安全対策がなされていて当然ですが、それでも起きてしまうのが事故というものです。では、挟まれ事故・巻き込まれ事故の被害に遭ってしまった場合、どのような手続きを取ることで、適正な補償を受けられるのでしょうか?
今回は、挟まれ事故・巻き込まれ事故による労災について詳しくご説明します。
目次
挟まれ・巻き込まれ事故における労災の基礎知識
まずは、挟まれ・巻き込まれ事故における基礎知識について見ていきましょう。
挟まれ・巻き込まれ事故が起きた場合、会社や元請が労災保険の適用に応じてくれれば、それほど困ることなく補償を受けることができます。しかし、中には労災申請に協力してもらえない場合もあるため、そういった場合は自ら労災申請を行う必要があります。労災申請というのは、必ずしも会社や元請経由でやってもらわねばならない手続きではありません。
そういった場合は、会社や元請が労災申請に協力してくれなかったことを労働基準監督署に伝え、事情などを記した書面を添付し、被害者として申請を行うことが可能です。
とはいえ、個人で労災申請をするのは簡単ではない上に、まずは治療に専念する必要があります。時間や手間を節約する意味でも、弁護士に依頼するのがもっともおすすめです。
挟まれ・巻き込まれ事故が起きやすい業種
では、挟まれ・巻き込まれ事故が起きやすい業種はどのようなものでしょうか?
もっとも事故が起きやすいのは、製造・建築・運送など、大きな機械・器具を取り扱う業種です。安全対策が万全であっても起きてしまう事故や、機械のメンテナンス不足で起きてしまう事故もあります。特に、製造業においては労災事故の発生がもっとも高く、厚生労働省の発表によると、製造業が約20%を占める割合で発生しています。製造業に携わっている以上、常に挟まれ・巻き込まれ事故は身近に存在しているといっても過言ではありません。
挟まれ・巻き込まれ事故よる後遺症等のリスク
挟まれ・巻き込まれ事故の場合、後遺症等を抱えるリスクが十分にあります。それゆえ、もし、後遺症が残ってしまった場合は、後遺障害等級の認定が非常に重要になってきます。
通常であれば、会社、元請に対する損害賠償請求は、労災保険の申請後に行われますので、労災認定の際の資料がそのまま使われることになります。よって、適切な損害賠償額を得るためには、後遺障害等級認定を含め、労災申請の初期段階から適切な対応が求められます。
後遺障害が見込まれる場合は、少しでも自身に有利な等級が認定されるよう、手続きを進めていく必要があります。後遺障害等級認定も労災申請と同様、個人で行うのは簡単ではないため、早い段階で弁護士に相談することを強くおすすめします。
会社、元請に対する損害賠償請求が可能なケース
挟まれ・巻き込まれ事故の場合、「安全配慮義務違反」や「不法行為責任」などを根拠として、会社・元請に対する損害賠償請求が可能なケースがあります。
安全配慮義務違反とは、労働環境を安全なものに整備する義務のことです。もし、挟まれ・巻き込まれ事故を引き起こした機械や器具、もしくはその周辺の防護柵の設置など、安全に対する措置が欠如していた、不備があった、といった場合に損害賠償請求が可能となります。
次に、不法行為責任とは、挟まれ・巻き込まれ事故を引き起こした要因が、会社・元請の活動や理念を原因とするような場合に損害賠償請求が可能となります。
損害賠償請求実施の可否
実際に会社・元請に対して損害賠償請求を実施するのであれば、争点となりやすいのは会社・元請がどれだけ事故を起こさないため安全に配慮していたのかです。よって、事故現場の状況や会社・元請側の安全教育、安全措置などに関しての証拠を集めなければなりません。
また、会社・元請側も、労働者側にも過失があったとして、「過失相殺」の主張をしてくることはめずらしくありません。過失相殺とは、被害者側にも過失(不注意や注意義務違反)があったとして、加害者側が負う賠償責任を過失分だけ差し引くことです。
つまりは、証拠集め、会社・元請側との過失等における交渉、その他にも損害額の計算など、損害賠償請求を実施するには多大な負担がかかってしまいます。あまりに負担であるため、中には会社・元請への損害賠償請求を諦めてしまう方もいらっしゃいます。
しかし、労災保険だけでは、適正と言える金額の支払いはまず実現しません。会社側からの賠償金を受け取って、はじめて適正と言えるため、あなたの権利を行使するためにも、損害賠償請求の実施は簡単に諦めるべきではありません。
該当する可能性のあるケース
会社・元請への損害賠償請求に該当する具体的なケースを2つほど挙げてみましょう。
①ステンレス鋼板の加工中の怪我
ステンレス鋼板の加工中、左手の薬指が機器に挟まれてしまい大けがをしてしまいました。
この事故が起きた原因は、会社が節約のために必要な部材を買い替えず、劣化した部材をそのまま使用していたためです。被害者の方は、数か月間の治療を続けたものの、左手薬指の痺れが取れず、医師からは症状固定と診断されることになりました。
その後、後遺障害等級認定では14級が認められたため、次は会社に対しても安全配慮義務違反を根拠に損害賠償請求を行うことが可能となっています。
②食品加工現場での切断事故
食品加工工場の現場で、右腕が機械に巻き込まれ、結果として切断しなければならない事故が発生しました。後遺障害等級認定では、4級の4(上肢をひじ関節以上で失った)の認定が受けられましたが、それだけではとても損害に見合う金額を受け取ることはできません。
そこで、今回の事故について調べてみると、事故の根本的な要因は、機械に安全カバーが取り付けられていないためだったことがわかりました。会社側には安全配慮義務違反があったといえるため、損害賠償請求を行うことが可能となっています。
挟まれ事故・巻き込まれ事故による労災でお悩みは弁護士にご相談ください
挟まれ事故・巻き込まれ事故に遭ってしまった場合、適正な金額を受け取るためには、労災申請だけでなく、会社・元請への損害賠償請求も視野に入れる必要があります。
しかし、個人でこれらの手続きをすべて行うのは多大な負担になってしまいます。ただでさえ怪我をしているというのに、煩雑な手続きについて1から調べなければならないのです。
また、個人で行った場合、適正と言える後遺障害等級認定を受けられなかったり、会社・元請側との交渉で不利な条件を押し付けられてしまうこともあります。さらに難しいと言えるのは、自身の受けた認定や相手から提示された条件が、本当に適正かどうかを判断する専門知識がないことも挙げられます。本来受け取れるはずの金額を受け取るためにも、挟まれ事故・巻き込まれ事故による労災でお悩みの方は、まずは弁護士にご相談ください。